第三章 歴史の「道」を探してみよう

 

歴史の「道」の手がかりを探そう

 

歴史の道には手がかりがあるけど、普段は気づかずに見落としていることが多い。

見落としている手がかりってなんだろう?

いろいろな手がかりあるけれど、それが分かると道さがしが楽しくなるよ

 
「道」は、時代の移り変わりの中でその姿を変えてきました。
明治時代になって、鉄道ができて使われなくなってしまった「道」もあります。
国道が整備されて、もともとあった「道」が脇道になったところもあります。
昔と同じ形をとどめ、変わらずに残っている「道」もあります。
 
「道」の形も場所も変わっているとしたら、歴史の「道」を探すことはむずかしいのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
 
歴史の「道」には、それを探すための手がかりとなるものがあるからです。歴史の「道」を探す、身近な手がかりを見てみましょう。

観光マップ、まち歩きマップを見る

地域の役場や観光案内所に行くと、観光マップやまち歩きマップをもらえます。自治体や観光協会のホームページからダウンロードできるものもあるので、確かめてみましょう。
 
観光マップやまち歩きマップの中には、史跡や古いお寺や神社などの案内が書かれています。古いお寺や神社のおおくは「道」の近くに建てられています。古いお寺や神社の入り口は、入りやすいように「道」の方に開かれています。
 
城跡などの史跡があれば、それもマップに書かれているでしょう。よく見るとマップに古い「道」の名前が書かれていることもあります。
 
観光マップやまち歩きマップは、歴史の「道」を探す役に立つ身近なツールです。
 

提供:一般社団法人花巻観光協会

地図アプリで探す

地図アプリに「史跡しせき」と入力して検索してみましょう。
史跡というのは、古墳や貝塚、城跡しろあと古戦場こせんじょう、お寺や神社など、歴史的な価値がある遺跡のことです。史跡はその土地と深くむすびついています。
 
たとえば古墳は大昔の有力者の墓なので、その近くに集落があり人が住んでいたことが分かります。
史跡はそこで人が暮らしていたことを示すものなので、その近くには古い「道」があったかも知れません。
 
ただし石碑や石仏のように運べるものは、後から移動されたものも多いので注意しなければなりません。
 

Google Map:史跡の場所が地図上に示される

古い地図を見てみる

古い地図は、今の地図とはずいぶんと書き方が異なっていますが、地域の地図を見るとどこにどんな「道」があったのかを知ることができます。
 
城下町では、川や町名、武家屋敷などが書かれた詳細な地図が残されていることも多くあります。江戸時代には庶民の旅行が盛んになり、観光ガイドをかねた地図なども作られました。
 
古い地図と現代の地図をそのまま重ね合わせることはできませんが、川や城、寺などの場所を手がかりにして「道」を探すことができます。
 

広島町々みちしるべ(国土地理院古地図コレクション)

 

ここにあげたものは、「道」を探すための最初の手がかりになるものですが、「道」を探すための本当の手がかりは町の中にあります。
思いがけないところや身近なところにも、歴史の「道」の手がかりが残されています。次は「道」を探すための町の中の手がかりを見てみましょう。

コラム:SDGsと「道」

SDGsでは、なにより持続性が大切とされている。
今の道と違って、昔の道は雨がふったら泥道になりやすいから、道の両側には溝が掘られていて降った雨を排水するような工夫もされていた。側溝はすぐ落ち葉や泥で詰まったり埋まったりしやすいから、人々が掘りかえして手入れする必要があった。持続性のために、道は作った後もほったらかしにはできない。
官道かんどう」といって、奈良時代に朝廷が定めた大きな道は、現在の国道と同じだから、その道の地域を支配する国司に命じて道を管理していた。朝廷が衰えて武士の時代になると、幕府が各地域の地頭御家人に命じて、道の安全と管理を命じていたことがわかっている。追剥おいはぎや強盗は、昔の旅人の一番怖いものだったけど、鎌倉幕府や江戸幕府は道の安全をその地域の領主に命じて取り締まりをやっていたんだよ。
道の持続性には、安全と管理が大事だってことだね。